釉薬ってなに?

釉薬(ゆうやく)と読みます。
いわゆる、うわぐすりのことで、やちむんは、仕上や製作過程でこの釉薬を使います。
この釉薬で紋様を描いたり、かけて焼き上げるとやちむんの表面がガラスのようにコーティングされるので、水分を吸収しにくい、傷がつきにくい、汚れにくい、壊れにくいなどの効果がにつながる、とても重要な役割を果たしています。
そして、この釉薬の種類や調合の割合によって、仕上がったやちむんに表情や変化が生まれます。

釉薬の一例

調合って?

一言で調合の割合と言っても、調合する材料や割合など様々な条件があり、作家は試行錯誤と調合を繰り返して、自分好みの釉薬を作ります。

やちむんへのこだわりや想い入れは、作家によって様々ですが、技法だけでなく釉薬にどこまでこだわるかでも、仕上がりに違いが出てくるのは必至で、これが作家の個性となって作品が生まれます。

今回は、その一部を分かりやすくご紹介します。

釉薬の基本的な作り方

①灰と②長石をミルという機械を使って擦ったものと③土を水に入れて「かき回す、寝かす、沈殿したら上澄みを捨てる」あく抜きを何度も繰り返して、やっと出来上がります。

この混ぜる長石土の種類や量などの違いによって、出来上がりの釉薬が変わります。

例えば…
【透明釉】では、①が「もみ殻と石灰」、③「化粧土」(透明釉は単独でも使いますが、他の釉薬の希釈用にも使います。)
【灰釉】では、①が「木や草などを燃やした灰(雑灰や土灰)」、③が「赤土」
【きび釉】では、①が「さとうきびも燃やした灰」
【緑釉】では、これらのほかに酸化銅をプラス(緑釉は沖縄の方言で「おーぐすや―」とも言います)
【飴釉】では、酸化第二鉄をプラス。
【コバルト釉】ではコバルト成分をプラス。
など、まだまだ種類はたくさんあります。

ミルを使って釉薬の材料(②長石)を擦る作業

そして、良く使われる「緑釉・飴釉・コバルト釉」を三彩(さんさい)と呼んでいます。

焼くとどうなる?

焼き上がったやちむんの色は、焼く前の釉薬の色とは思えないほど発色します。

焼く前の緑釉と飴釉

焼いた後の緑釉と飴釉

焼く前のコバルト釉と飴釉

焼いた後のコバルト釉と飴釉

作家は、新作を考える場合などはもちろん、普段使っている釉薬を改良したり、焼き上がりの釉薬のにじみなどを何度も試作しながら、新しい作品を作り上げます。

大きな工場でライン生産された商品とは全く違い、一つ一つを手づくりで仕上げるため、形も色柄も「似たようなもの」はできても、「全く同じもの」は作れません。そこが手づくり品の温かみであり、やちむんそれぞれの表情になります。

今回は釉薬の紹介をしましたが、釉薬を使用した工程は、たくさんある工程の一つで、釉薬だけでもこれだけ手間がかかっています。
一つ一つを手づくりで丹精込めたやちむん、 それなりのお値段になるのは、納得できますね。
器を選ぶ時も使う時も、やちむんのできるまでを想像しながら楽しんでいただきたいと思います。

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